Kindle Voyageにランダムハウス英和大辞典を入れてみた

2015年12月07日

Amazonの電子書籍端末「Kindle」には、「プログレッシブ英和中辞典」「Oxford Dictionary of English」などの辞書が無料で付いてきて、読書の際にポップアップ検索用の辞書として使うことができます。また、Kindleストアで売られている辞書を別途購入して使うこともできます。

ですが、実はKindleのポップアップ用辞書って、こうした出来合いの辞書だけでなく、独自のものを作って利用することもできるようになっています。(実際に作る人はあまりいないとは思いますが…)。

そこで、個人的な実験として、Windows用の「ランダムハウス英和大辞典」をKindle用データに変換し、「Kindle Voyage」(2014年秋発売モデル)に入れてみましたので、ご紹介したいと思います。

動作の様子

パソコン上で作成したKindle形式のランダムハウス英和のファイル(約96MB)を、USB接続でKindle Voyageにコピーしたところ、ちゃんと辞書として認識してくれました。

151207_Kindle_1.jpg

このランダムハウス英和を単独の書籍として開いてみるとこんな感じ。リンク部分も該当項目にジャンプするようになっています。

151207_Kindle_2.jpg

図も入ってます。

151207_Kindle_3.jpg

手入力で見出し語を検索することもできます。

151207_Kindle_4.jpg

もちろん、ポップアップ検索用の辞書としても設定できます。

151207_Kindle_5.jpg

別の英語文書を読んでいるときに、単語を選択したら、ちゃんとポップアップで意味が表示されました。

151207_Kindle_6.jpg

ただし、この実験用ファイルは、作るときにちょっと手抜きしたため、原形の単語しかポップアップ検索できないという、残念な制約があります。(ファイルを作る時点で、活用形も検索インデックスに加えておけば、ちゃんと検索できると思います)。

というわけで、あくまで実験レベルですが、ランダムハウス英和大辞典をKindleの端末に入れて、ポップアップ検索や見出し語検索に対応できることがわかりました。

(ちなみに、パソコン用アプリケーションの「Kindle for PC」に関しては、こうした独自作成の辞書をポップアップ検索用として設定する方法がわかりませんでした。できない仕様なのかもしれません)。

ファイルの作成手順

実は、この実験用ファイルを作ったのは最近のことではなく、2011年の話です。当時のKindleは2010年発売の第3世代、ファイル作成に使ったパソコンはWindows XPでした。

したがって、今となってはうろ覚えの部分も多いのですが、当時ファイルを作った手順を参考までにご紹介します。

(1) ランダムハウス英語辞典Toolkitを使って、ランダムハウスのデータをHTMLファイルに変換
(2) 自作ツールを使って、(1)のHTMLファイルをKindle向けのHTML形式に置換
(3) MobiPocket Creatorを使って、(2)のHTMLファイルをKindle用データファイルにコンパイル

(1)の「ランダムハウス英語辞典Toolkit」は、本来はランダムハウスをEPWING形式に変換するときに使うツールです。(その用途では今でもとても有益なツールです)。

(2)の「自作ツール」というのは、タグ、外字、画像等を、正規表現を使ってKindle向けのHTML形式にせっせと置換するC#製の自作ツールです。(あくまで実験用として作ったものですので、公開はしておりません)。ちなみに、Kindleの辞書用HTMLデータの仕様については、「Amazon Kindle パブリッシング・ガイドライン」の第7章に説明があります。

(3)の「MobiPocket Creator」というのは、Kindleで使える形式の電子書籍ファイルを作成できるツールです。ダウンロードページのシステム要件に「Windows 2000/XP」とあるように、相当古いソフトウェアです。今だったら、「KindleGen」というツールで変換することになるのではないかと思います。

- - - -

Kindle用の英和辞典って、無料で入っている「プログレッシブ英和中辞典」以外には、Kindleストアにもメジャーなタイトルがほとんどありません。せいぜい「英辞郎」くらい。

今回試してみた感じでは、既存の電子辞書のデータをKindle用に変換するのは、そんなに難しいわけではなさそうなので、出版社の皆さん、Kindle版の英和辞典をもっと出してみてはいかがでしょう。たいして元手はかからないし、競争相手が少ない今がチャンスですよ。

たとえば、研究社の「リーダーズ英和辞典」あたり、辞書の性格から考えて、Kindle版を出すにはうってつけだと思うのですが。

posted by 内山卓則 at 21:30 | パソコン・IT